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Media米国の原爆投下責任を問う 国際民衆法廷へ日韓、欧米の研究者ら討論


米国の原爆投下責任を問う 国際民衆法廷へ日韓、欧米の研究者ら討論


柳川迅2024年6月15日 10時15分


写真・図版日韓や欧米の法律家や研究者らが核兵器使用の違法性について討論した=2024年6月8日午後3時40分、広島市中区の広島国際会議場、柳川迅撮影

 米軍による広島・長崎への原爆投下の違法性を問う模擬裁判「原爆国際民衆法廷」を2026年に米・ニューヨークで開くことを、韓国の市民団体などが計画している。準備の一環として国際討論会が8日、広島市中区の広島国際会議場で開かれ、日韓や欧米の法律家や研究者らが意見交換した。

 民衆法廷の活動は、15年の核拡散防止条約(NPT)運用検討会議で、韓国人被爆者が原爆投下の違法性を訴えたことが出発点となった。韓国の市民団体「平和と統一を開く人たち」(SPARK)が主導し、日本などの団体も協力。在韓被爆者を「原告」とし、原爆投下の違法性と核兵器廃絶を訴えるという。昨年に韓国で第1回の国際討論会があり、今回が2回目だ。

 8日の討論会では日韓や欧米の計13人の専門家が意見を交わし、約200人が参加した。

 2歳の時に広島で被爆した韓国原爆被害者協会陜川(ハプチョン)支部のシム・ジンテ支部長は「『被害者はいるのに加害者がいない』という事実はありえない。今からでも加害者の責任を明確にしたい」とあいさつで訴えた。

 討論で、江原大(韓国)のオ・ウンジョン教授は、冷戦体制下で在韓被爆者が米国や日本の責任を問う声は抑圧され、民間レベルで救護を求める訴えに矮小(わいしょう)化されたと指摘した。「被爆者は自らの行動や言葉を自己検閲させられてきた」

 明治大の山田寿則兼任講師は「国際法から見る核兵器使用の不法性」がテーマの討論で、核使用を「ジェノサイド」と認定することの立証が最大の関門とされてきたと説明した。その上で「核兵器を使用する時点で抑止は破綻(はたん)し、ひたすら敵国民の大規模な破壊を目的とし、ジェノサイドに該当しうる」と述べた。

 原爆投下の責任を問う民衆法廷としては、06年に広島市で開かれた「原爆投下を裁く国際民衆法廷・広島」がある。当時の田中利幸・広島平和研究所教授や坪井直・県被団協理事長らが実行委の共同代表を務めた。2日間の審理の後、投下命令を出した当時のトルーマン大統領や米軍人ら計15人に対し、有罪の「判決」を言い渡した。

 このとき被告側の法廷助言者を務め、今回の討論会で登壇した大久保賢一弁護士は取材に、「韓国の被爆者とSPARKの熱気を感じた。核抑止論をどう突破するかを欧米の研究者が論じていることに大きな意義を感じた」と話した。(柳川迅)